明治32年以来、小作人の千数百名より納められる米額の内、五合づつを別に貯蔵して置き、翌年1月に郡の役人、及び郡農会員の立会の上、米質を審査し優等の者50名を選抜し、これを1等より5等までに分け賞状、及び若干の賞品を授けることとした。
渥美郡長の名をもって付与し米質の改良を奨励中であるが、現在は当初に比べれば格段の進歩が見られるようになった。
新田事業で特に注意を必要するのは悪水樋管の構造とこれらの保護の方法であり、特に保護の方法については常に慎重に対応する必要がある。
それは堤防の外面は海水の干満があり、突然意外な破損が生じたら、若い苗はたちまち海水の浸水により全て枯死してしまう。
当新田のように20有余服(対のこと?)の樋管が数ヶ所に散在しているので平素の注意を怠らず、1ヶ月1回から2回を特に所員が精密に破損の有無を調査するようにしているが、この調査では不足が認められるので、35年中に各樋管の所在地に倉庫を建設し、内に非常時に必要となる材料の莚、縄、丸太、叺、砂利等を備蓄して、臨時の供給に充てるこにして、36年春に新田に住居の成年に達した17以上30歳未満の者にて水火災予防組合を組織し、樋管、及び各堤防、その他の被害に際しては、号鐘の合図と共に現場に集合し、応急の防禦を施すための設備を完了させ、毎年1回の仮設演習を実施する。