『家憲第六』は、みだりに金銭を貸してはならない。
他人の保証をしてはいけない、これは友誼を重くし、また自らを守る意思を表明したものである。
金銭の貸借から、ひいては旧交を破ることに至ることは、世間では往々にあるので、例え一時の仲たがいをしようが、永久の友誼を失うよりも良い。
また氏が他人の保証するなとの教えは、自己の境遇上で失敗しているが、それは他人の保証に立ち、大いに面倒なことに巻き込まれたことがあった。
加えて現在は、数多の銀行や会社に関係しており、一度でも保証人を売れ入れれば、毎夜門をたたいて、憐れみを申し立てるものが後を絶たなくなる。
保証人を頼まず頑張っている者より、簡単に保証人を頼みに来る者を優遇するのは、君子の行いではないので、断然に家憲の趣旨を実行せよということである。